禍津姫戦記

     *

 二人は、もといた石の柱のそばに折り重なるように倒れていた。
 ハバキがうめきながら、身体を起こそうとした。
「くそっ……体が、ばらばらになったようだ……。今のは、いったい――」
 いいかけて、おのれのたくましい身体が華奢な姫夜を押しつぶしそうになっていることに気づき、なんとか地面に手をついて、ごろりと横に転がった。
「あの宮、丘の上の兵たち――おまえも見たか」
「見た……夢ではない。たしかにあれは、神の見せたもうたものだ……こんなことは、初めてだ……手をのばせば、触れられそうなほどに……」