「この騒ぎよう、まるで婚礼の準備だな! おまえもとうとう観念したか。ハバキのことだ。きっと力ずくで押したのだろう」

 カリハは面白がって、姫夜をからかった。

「そんなことはない。わたしが自分で、決めたのだ」

「ムキになるところが怪しいな。黙っていてやるから云ってみろ、何をされた。とうとう菊花を散らされたか、それとも蛇の室にでも入れられて――」

「だから! 何もされてなどおらぬと云っている。カリハこそ、わたしがまだ間者だと疑うているのであろう」