禍津姫戦記

 と、幻は光のなかにかき消え、二人はふたたび落ちていった。
 しかしどこへ向かっているのか。流れはどこまでも果てしなく続くかと思われた。
 そして唐突に目も眩む光が消え――

 二人は小高い丘の上にいた。
 熱い風に、一面、緑の草がなびいている。
 ハバキは輝く白銀(しろがね)の兜をかぶり、漆黒の馬にまたがって、はるか遠くを見晴るかしていた。そのすぐかたわらには白馬にまたがった姫夜がいた。