ハバキは腰に下げていた竹筒を取り、裂けてザクロのように肉が見えている疵口に酒を吹き付けようとして、ぎょっとした。

(疵が、ふさがってゆく――)

 疵はハバキが見ている目の前で、新しい桜色の肉がもりあがり閉じてゆきつつあった。

(これもワザヲギの民だからなのか)