禍津姫戦記

 姫夜もまたおのれでも気づかぬうちに、同じように上半身を揺らしていた。
 磐座全体がかすかにうなりをあげていた。だが二人はあまりにも深く、祈りに入りこんでいたので、気づかなかった。
 磐座の中心にそびえ立つ石の柱が、白い光を帯びた。ぶーんという、蜂の羽音のようなうなりにあわせて、その光は下から上へと走った。姫夜はひたすら祈り続けた。
 みるみる光は速度をまし、はじけて、二人を包んだ。
 足下の大地がぐらりと大きく揺れ、消えた。