禍津姫戦記

 姫夜を羽交い締めにした男は、薄ら笑いを浮かべ、ハバキをねめつけた。

「何だ、うぬらは」

「俺はカツラギのハバキだ。その者を離せ」

 男は嘲笑うように背をそらせて云った。

「カツラギだと。今頃かけつけてももう遅いわ。ひれふすのは貴様らのほうよ」