そのまま夜が明けた。
 気がつくと、まぶしい白い光が板戸の隙間からさしこんでいる。
 見ると、姫夜の寝息も安らかなものに変わっていた。むしろあどけないと云っていいような、可愛らしい顔だった。思わず手をのばし、汗で額にはりついている長い髪をそっとかきあげた。
 姫夜は小さくうめき、兄さま、とつぶやいた。