「翼もつ神よ。なぜわれを呼びたもうた?」

 わさわさと翼を打ち振るいながら、黒い影がこたえた。
 ――そなたは神の声を聞くもの。われの声はそなたにしか届かぬ。
 もうもうと、翠の羽毛があたりに飛び散った。
 異形の輪郭がゆらいだ。それは形を保っているのがやっとのようにみえた。

「苦しいのか?」