空には満天の星がかかっていたが、草木みな寝静まって鳥の声も聞こえない。
 姫夜は立ち止まり、小首をかしげて闇をじっとみつめた。だが《声》は低く姫夜を呼び続けている。
 姫夜は岩を安置した場所の前へきた。
 燭の残り火が、ジジ、と音を立てた。
 姫夜はそのまま何のためらいもなく二つに砕けた岩の前にすわった。《声》を発しているのは確かにその岩だった。