入ってまず気になったのは
親父の隣にいた
顔立ちのいい男だった。

「こちらの方は?」

座りながら尋ねる俺に
親父は目をみながら答えた。

「お前も名前ぐらいは聞いたこたぁあるだろう。
山本組次期当主の篤己君だ。」

「んで、その次期当主さんがどうしてここに?
しかも、こんな朝に…」

そう聞く俺の質問に答えたのは
その、次期当主さんだった。

「実は中織組さんにお願いがありましてね…」

「お願い?」

「あぁ、実はある女の警備をして欲しい。
女には女のがいいだろうと思ってね。
なにしろ、山本組には女衆がいないもんですからね…」

「なるほどね…別に俺はいいですよ。」

そう答えた俺に少しの笑みをこぼしその男は言った。

「では、この話はまた後ほど…」

そういいながら、男は出て行った。