「なる君?」
なる君が女の子を抱き締めた瞬間だった。
「きゃぁぁぁー!!」
女の子の小さな悲鳴が聞こえた。
「なる君!? なる君!!」
なる君と女の子の姿がない。
慌てて下を見ると、小さな血の海が広がっていた。
「なる君!!」
返事はない。
ピクリとも動かない。
小さな女の子も、動かない。
「どうしたんですか?」
後ろから人が集まってきた。
「救急車、誰か救急車を呼んで!」
「あなた、大丈夫? 」
「なる君…なる君…。」
問いかけにも答えず、私はただ名前を呼び続けた。
返事をしてよ…。
「なる君…返事して…。」
どこからか、救急車の音がする。
いつの間にかなる君は、救急車に乗せられていた。
そして、気付くと隣に星哉がいた。

