それから、あたしはバスを降りた。
 和喜さんを乗せたままのバスはもう小さくなって、見えなくなった。

 あたしには
 好きな人がいる。
 かっこよくて、優しくて、
 なんでもできるパーフェクトくん。

 なのに、
 今日会ったばかりの、
 名前すら初めて知ったあの人、
 和喜さんのことばかり考えてしまう。

 もう、頭から離れない。
 あの瞳にあたしをうつしたい。

 そう思ってしまった。