誰もいない廊下
辻本が夏芽を見つめる
「何?」
「昨日は何も言い返せなくてごめん」
「なにそれ」
「俺、オカルトとか信じてなくて幽霊なんていないって思って生きてきたから驚いた、身近に幽霊が見える人がいることに。」
「言いふらすなら言いふらしていいよ。許可とかいらないから」
「噂なんか流さねぇよ」
夏芽は驚いて固まった
「なんで?」
「なんで?俺、夏芽のこと外見とか、そんな簡単な理由で好きになったんじゃない。俺にも笑顔を見せて欲しくて好きになったんだ。幽霊はまだ理解出来ない。出来ないけど、そんな簡単な理由で夏芽をキライになったりしないよ」
「あたしのことまだ好きでいてくれるの?」
「好きだけど…」
「けど…?」
「夏芽は、俺のこと本当に好きか?」
「なにいってんの?好きだよ!だから付き合ってたんじゃん!」
「俺には夏芽が別のヤツを好きでいる気がする」
「…何それ。あたしは辻本くん以外の男子と話したことないよ?」
「…そうかな?気づいてないだけじゃない?」
辻本は去って行った
二人は友達になることはあっても恋人に戻ることはなかった

