月曜日になった
夏芽と春実は星夜に何も聞かされず待っていた
「何を待つのかぐらい教えてよ」
夏芽はイライラしてる
「とにかく待ってろ」
「さっきからそればっかりじゃん。あたしたち受験生なの。何時間もボーッとしてる暇ないの。ね、はる」
急に話を振られて春実は驚いた
そして春実は喜んだ
嬉しすぎて目が潤んだ
「夏芽が…」
「え?どうした?」
夏芽は引いていた
「どうした?じゃないよ!!今までねぇとか、あのさとか、おいとか、そんな風にしかあたしの事呼んでくれなかったじゃん!!なのに今『はる』って呼んでくれたからさ、もう嬉しくて…」
「…そうだっけか」
夏芽は少し照れた
そんな小さな事で喜んでくれるなんて…と思っていたのが表情でなんとなくわかった
星夜はその二人のやり取りにジェラシーを感じてた
「おい、俺も名前で呼んでくれよ」
「何でよ」
「どれくらい嬉しいのか知りたい」
「まず自分から直したら?お前しか言わない癖に図々しいんだよね」
「はぁ!?」
夏芽と星夜の口喧嘩が始まった
春実は二人の姿を笑ながら見てた
しばらくすると後ろから黒いオーラがやって来た
「楽しそうだね…」
三人が声に振り向くといかにも誰かを呪いそうな姿の朱子がいた
「「ぎゃー!!」」
と叫んで二人は夏芽の後ろに隠れた
「朱子…?」
すぐに夏芽は気づいた
怖がるどころかどんどん近づく
星夜と春実はなぜか動けない
朱子はゆっくり手を差し伸べた
「夏芽…、一緒に行こう。あたし、選べないよ。どっちも大切だから…」
この声が聞こえたのは星夜だけだった
そして気づいた
朱子は夏芽を連れて成仏する気だと
「行くな!!」
星夜の声が夏芽には届かない
夏芽はさらに窓へ近づく
このままでは転落してしまう
「おい、行くなって!!」
春実は声が出せずにいた
「止まれ!!」
まだ届かない
星夜は力を振り絞った
「夏芽!!」

