「浅岡!」


呼ばれて夏芽は振り返った


もう、大学生で宇宙研究というサークルに入っていた


「先輩、どうしたんですか?」

「今日、サークルの親睦会があるんだけど来ない?」

「今日はちょっと先約が…」

「そっか…」

「また誘ってください」

「分かった」

「では」


夏芽は嬉しそうに走る


待ち合わせ場所には春実がいた


「はるー!」

「夏芽ー!」



春実はさらにさらにおしゃれになっていた


「久しぶり!」

「久しぶり!夏芽、髪染めたの?」

「うん、卒業式に二人で撮った写真見せてこの髪の色にしてくださいって言った」

「じゃあ、あたしと同じ色?」

「そうそう」

「へへ、嬉しい」

「あたしが憧れるモデルははるだから」

「頑張る!」



お昼ご飯を食べるために店を二人で探した



その時一人の男性とすれちがった
ふあっと涼しい香りがした



夏芽は無意識に目を追った



その人の後ろ姿をただ見つめた



「夏芽?どうした」

「あ、ううん、いこ」



少し星夜かな?って思った


だけど


二度は振り返らなかった


過去にはすがらない


あたしが生きてく道は前だけにあるから