空に届くように


その日の放課後。

『いってくるね!』って気合を入れた愛満の頬は少し赤くて。

『いってらっしゃーーい!』って二人で愛満に手を振った。


*愛満side*


中庭にある小さな噴水の傍。

ちょっとお洒落なベンチの横。

かなりの緊張で周りの音すら聞こえなくなってるとき

後ろからなぜか聞こえた足音。

「話って?」


ついに、言わなければいけない時が来たんだな。


「急にごめんね」

「ううん、全然」

「えと、話っていうのは・・・」

いざ言うとなると、こんなにも緊張するものなんだ。

自分から告白なんてしたことなかったし、
今までに経験したことのないような緊張感に襲われ
まともに喋れない。

「どうした?」

うつむいてもじもじしている私の顔を覗き込んで
心配そうに声をかけてくれる。

そういう何気なく優しいところとかが
すごく好きになったんだよ。


いつからかなんて忘れたけど


私はあなたが好きです。


「私・・・」

「ん?」


「修のことが好き!」


さあっと、風が二人の間を通り過ぎて


顔を上げたとき

悲しい顔をした修が

口を開いた。


「ありがとう。でも、ごめん」