「あはは、俺も」

実は持ってるけど。

「止むかな」

え?

俺に話しかけてる?

まじか!

「止まないかもなー」

おい!
何言ってんだよ俺!

もっとマシな事言えねーのかよ・・・

「止むといいね」

おおお。

やべえ、俺、今。

普通に会話してる。

嬉しい。

あ、いいこと思いついた。



「実は俺さ」

「え?」

「傘、持ってるんだよね」

「は?」

「俺、折りたたみ傘嫌いでさ」

俺の小さくて馬鹿な頭をフル活用して、
なんとか考えた作戦。


「なにそれ、おっかし」

ははは。



笑ってくれた。


「はは、だからさ、良かったら使ってよ」

「え、いいの?」

「いいよ、はい」

もうだいぶ前に買ってもらった、俺には少し小さくなってきた
傘。


「じゃあ、俺帰るわ」

いい、と返されても困るので
返事を待たないうちに行ってしまおう。

「あ、ありがとう」


俺は一気に走り出した。