「・・・うん」


「俺さあ、彼女のこと大事にするつもりだったんだ、
ずーっとさ。でも、駄目になった。
本当、駄目な奴だよな俺。些細なことだったんだ。
人の気持ちが薄れていくのがこんなにも早いなんて思わなかった」

眩しい日差しの中。

そよそよと少し肌寒い風。

それから、なにか遠くを見つめているような
悲しい君の目。

「ごめん!なんかいきなり、うざいよな」

「・・・駄目なんかじゃないよ」

「え?」

「真田は駄目なんかじゃない。私はそう思う」

「・・・ありがとう」

「励ます言葉なんてわからないし、何もしてあげること出来ないけど
話なら聞くよ」

「ありがとう、優しいのな」

そんな顔して笑わないでよ。


ますます好きになっちゃうでしょ?

諦めようとしてたの。

忘れようとしてたの。

でも、また君に隙ができたんだよ。

どうしてこんな近くにいるの?

余計に苦しくなるんだよ、君を見てると。



「優しくなんかないよ」

人の不幸を一緒に悲しめないの。

「十分優しいよお前は」

だって

「ありがとう」

君があのこと別れて

嬉しいって思う私がいるから。