空に届くように


隣にしゃがんで、真田の顔を覗き込む。

前髪に太陽の光があたってキラキラしてる。

時間も忘れて見とれていると、まぶたがかすかに動いて・・・

「・・・紺野?」

まっくろな瞳がこっちを見つめる。

真田と目が合う。

世界が一瞬だけ、動かなくなる。


「あ・・・」

どうしよう・・・

目、そらすタイミングわかんなくなっちゃった・・・


そのまま見つめあう二人。

「・・・紺野?」

もう一度声をかけられる。

「・・・あっ!えとー、うーーーんと」

やっと動き出した私はあたふたとわけわからない
動作をし始めた。

「えっとー・・・、あのーこれは・・・」


「ぷっ!」

真田が吹き出した。

「何慌ててんの、面白いやつだな」

真田はお腹を抱えて笑っている。

───こんな笑い方するんだ

「なッ、面白いって・・・」

私が困っていると、真田が顔をあげた。

「まあ、座れよ」

「へ?」

自分の横の床をポンポンと叩いて私に笑いかける。


わけもわからないまま、ぽすんと腰を下ろす。


「俺のどうでもいい独り言、聞いてくれよ」


どうして?

と聞き返そうとした。

でも、できなかった。

だって、真田の顔があまりにも悲しい顔してたから。