そのあとすぐ、携帯がなったことに私は気づかなかった。
朝、思いっきり遅刻。
あわてて家を飛び出して、乱れる髪を手ぐしでとかしながら
走る。
こういう日って曲がり角でぶつかって
恋に落ちちゃうみたいな
少女漫画的な思考をはたらかせていると
後ろから声がした。
「刹那ー!」
振り返らなくてもわかる。
修だ。
今私が一番会いたくない人。
「おはよ」
あっという間に追いついて
私に話しかけてきた。
「うん」
「なんだよーそっけないな」
「・・・別にー」
スピードを緩めようともせず
走り続ける。
「とまんねー?」
「だーめ、遅刻しちゃう」
「・・・けーち」
なにがけちなのよ。
けちじゃないやい!
でも疲れてしまって
結局歩くことにした。
「てゆうか、珍しいな刹那が遅刻寸前なんて」
「まあね」
思えば。
愛満の気持ちはどうなる。
自分で言い聞かせたはずなのに。
なんで今私は修と話しているの?
しかも一緒の登校なんて。

