空に届くように

* * * * * 


「刹那!」

昼下がりの教室。

愛実の声で我に返る。

真田のことを考えると、周りの音が聞こえなくなる。


「なあに?」

「もー、愛満の話!」

「あー、うんうん」

愛満に、好きな人が出来たかもしれないとゆう話。

「誰だろうね!」

「・・・聞いてみる?」

いるかどうかもわからないのに、私たちは興味深々。

「聞いてみよっか!」

急ぎ目に愛満の教室へ向かう。

「あーーーみーーー」

私たちに気づいて愛満がこっちへ来る。

「なに?」

「あのさー、急に聞きにくいんだけど・・・」

私たちがもじもじしていると、愛満が

「なんでもいいなよ、なに?」

私たちに笑いかけてきた。

愛満はいつも優しい。


「その・・・愛満って好きな人、いるの?」

一瞬沈黙が走る。

「・・・なんで?」

明らかに動揺してる。

「噂、聞いてさ」

ちょっと驚いた顔をすると

ふって笑ってみせた。

「はは、なんでだろうなー、もうちょっとしてから言おうと思ってたのに」

そして私たちの方をみると、小さく頷いた。