空に届くように


「俺、怒ってないから、な?」

笑顔で男の子に優しく話しかける

「えー・・・、ずず・・・ほんと?」

「おう!俺は大丈夫だから、戻んな」

「はーい!」

さっきまで泣きそうだった男の子はすっかり
笑顔になって、また走っていった。


「おー・・・アイスクリーム」

発音良くアイスクリームと言ってみせる修。

また笑う二人。


そばにあったティッシュを渡してあげた。

「べっとべとだなあ、洗わなきゃだな」

ダウンについたアイスを器用に拭き取りながら

ぶつぶつとダウンの心配をしている。

「あ」

同時に顔をあげる。

「言いたいことって?」

あ、男の子に邪魔されてしまって

言うの忘れてたな。


「ううん、やっぱなんでもないや」

「なんだよー。気になるな」

「そのうち言うから」

「はいはい」

結局その日は、最後まで言うことなく

あっという間に帰る時間になった。

「じゃあ、帰るね」

「送ってやんよ!」

「いーよ、そんなにかわい子ちゃんじゃないから襲われませんよ」

「そーかい、まじでいいの?」

「いーい」

「・・・そっか、気をつけて帰れよ」

「おー」