* * * * *
「どうしよう」
今、私は廊下でウロウロしている。
あの紺色の折りたたみ傘を握りしめて
あちこち行ったり来たり。
もー・・・、人数多すぎだよ・・・
端っこから確かめて、いなくて
諦めて次へ。
いないよ・・・
もう疲れたな、これどうしよう・・・
不安になってきて、引き返そうと思ったとき。
「ねえ!」
突然腕を掴まれた。
後ろに引っ張られる
後ろを振り返ると、昨日の男の子が。
「あ!」
声を揃えて顔を合わせる。
「あ、こ、これ!」
慌てて傘を差し出す。
「ありがとう!助かったよ」
「いーえ」
「あ、大丈夫だった?」
「なにが?」
彼がキョトンとした顔をする。
「雨、濡れちゃってたし」
「あー、俺は平気」
「そっか、あの・・・」
シュウと言う事はわかったけど
お互いに自己紹介をしたくてもじもじしていると
それを悟ってくれたのか
「俺、山井 修!」
「あ、私!紺野 刹那!」
また彼はいたずらっぽく笑う。
「知ってる」

