私のいるところよりも少し手前の
軒下に入っていった。

でもそこは、屋根が少ししかなくて。

こっちの方が広いことに気づいたのか
また走ってくる。

「わーっ、びしょびしょ!」


独り言・・・
これってなんか返事したほうがいいのかな?

なんて思いながらじっと見つめていると。

「あ、君も傘持ってないの?」

って、聞かれて。


急にこっち向くからビックリしちゃった。

「え、うん」

「あはは、俺も」


そう言って笑う彼はなんだか可愛らしいなと思った。


綺麗な顔立ち。

背はそんな高くないけど、わりと普通な感じ。

髪が雨に濡れてちょっとかっこよくも見える。



「止むかな」


沈黙に耐えられなくなって
口を開いた。