「あー、のせてのせて。」
「最初からそう素直に言えばいいのに。いくぞ?」
そういうとお兄ちゃんは
自転車を漕ぎはじめた。
少し走ると、桜並木が続いて
朝の心地よい風に吹かれ、
花びらがヒラヒラ舞っていた。
「…こうやって一緒に学校いくの久々だね。」
思わずそんな言葉がでる。
「何いってんだよ。俺はいつも一緒に行こうって誘っても、瀬奈が嫌がってただけだろ?」
「だってそれはお兄ちゃんが…。」
──…そう。
お兄ちゃんが急にモテだしてしまって
一緒に登校すると女子の目が
怖かったから…。
「俺がなんだよ?」

