――ガチャ
「瀬奈ー用意出来たか?」
「また勝手に来…っ!」
そう言いかけたけど思わず言葉を失った。
何故って、お兄ちゃんのスーツ姿が
あまりにも格好良かったから、
自分のお兄ちゃんなのに見とれてしまった。
「瀬奈?」
お兄ちゃんの言葉で我に返った。
「あっごめん。もう準備出来たよ!……先に行くね?」
そう言ってかばんを持って部屋を出ようとしたけど、
「待てよ。」
お兄ちゃんに強く腕を捕まれた。
「…最後くらい、一緒に行こーぜ?」
「えぇー。一人で行くからさ!」
「いいから行くぞ!」
そう言って掴んだ腕を離さず、
そのまま外へと出た。

