料理は苦手なわけじゃないけど、
ただ私よりお兄ちゃんの方が上手だから
自然とお兄ちゃんが毎日作ってくれるようになった。
「――もう、時間が時間だしなぁ…。簡単なオムライスでも作ろうかな?」
卵を取り出し、手際よく作り始める。
あっという間に出来て、
部屋中美味しそうな匂いが漂う。
そんな匂いにつられてか、
お兄ちゃんが上から降りてきた。
「…あれ?珍し。瀬奈が飯作るなんてな。」
「あっ、起きたんだ!……うちだって作るときあるよ!」
なんか恥ずかしくてプイと顔を背けてしまった。
「…んじゃ悪いけど先に風呂入ってから。」
「あっ…、うん。」
お兄ちゃんは、お風呂場へと消えてしまった。
一人張り切って馬鹿みたい。
お兄ちゃんのあの言葉も嘘だったのかな?
そう思うと心が悲しくなった。

