キミとボク


「・・・あの人達は」

「奥様はご友人と旅行、旦那様は海外出張に今朝家を出ました」




 お互い仕事のパートナー(愛人)と仲良く、か。
くだらないね。
僕には“まだ”関係ないから別にいいけど。




「ごちそーさん」

「もういいんですか?」

「どっかの誰かがつきまとってくれたおかげで時間が無くなった」




 チラッと使用人を見ると顔を赤らめて俯いていた。
マジでバカなんじゃないの?
嫌味言われてんのにさ。




「僕をバカにするのも大概にしてよ」




 そうすれ違いざまに言ってやった。


 無駄にデカイ門を潜ると、フルスモークの高級車がある。

 専属執事の“じぃ”がドアを開けた。




「おはようございます陽真様」

「うん。時間無いからちょっといつもより急いで」

「かしこまりました」