キミとボク

 柚李亜の包帯に隠されていた顔の右半分。
そこにあったのは無数の刺傷。
深い縦や横に向かってある傷。




「お母さんは左利きだったんだ。・・・右のどこかの傷のせいで左の目まで見えなくなっちゃった」

「柚李亜、無理して笑うな」




 僕は取って付けたような柚李亜の笑顔に耐えきれなくて、柚李亜をそっと抱きしめた。

 ゆっくりと優しく背中を擦り、頭を撫でると僕に腕を回して静かに泣き始めた。




「・・・怖かったの、今で、もっ、あの時のお母さんの目は・・・夢にも出てくる・・・」

「柚李亜、溜め込むな。全部僕に吐き出して」



「怖かった」
「殺されると思った」
「二度と会いたくない」

「あの人の所に行くくらいなら、あたしはここにいる」




 柚李亜は感情を思いのまま吐き出す。

 僕は手を止めずに、ずっと柚李亜の言葉を聞いていた。