キミとボク

 あたしにとってこの傷は邪魔でしかない。
あたしのこれまでの人生は、この傷に幾度となく邪魔されてきた。
きっと治らない限りこれから先もずっと・・・。




「・・・今日、お母さん来てたよ」

「・・・・」

「先生に何度も会わせてってお願いしてたよ」

「・・・・」

「次は寝る前に代えにくるね」




 ・・・・嫌だ・・・。
嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌いっ・・・!!!




「嫌いっっっ!!!!!!」




 あたしは枕を投げつけた。
どこに飛んだかなんて知らない、分からない。
“見えない”から。

 嫌い。
家族なんて嫌い。
大嫌い。

 あたしなんて嫌い。
こんな傷なんて嫌い。
全部全部、大嫌い。




 “柚李亜”


 ハルくん・・・。
ハルくんみたいにあんなに優しくあたしの名前を呼んでくれる人、誰もいない。

 ハルくん、もう一度会いたい。
名前を呼んで?




 あたしを一人にしないで・・・。
誰でもいい、あたしに“ぬくもり”を下さい・・・。

 あたしに、
優しさを下さい。

 あたしの名前を呼んで・・・。