『現場来てみれば? ここが天国に感じる』




それは明らかに嫌味だったけれど、『行ってやろうじゃないの』と、何故だか変な闘志がメラメラ燃え上がった。


もしかしたら、ただ、彼に会いたかっただけかもしれない。




工場長に、組合会議のレジメ作成を頼まれていることを思い出した。



工場長は定年間近の50代後半。それほどお爺さんでもないのに、パソコンを全く扱えない人だ。


だからいつも、手書きの原稿を渡され、それを私がワードで打ち直す。




そう、

私の仕事なんて、こんなのばっかり。




原稿が出来たら持って行くと言われていたけど、自分から取りに行くことに決めた。工場へ入る絶好の口実だ。