「鳴瀬さん――

――ヤらせて」


耳元で艶やかに囁かれたのは、そんなふざけた言葉。


ぶっと思わず吹き出してしまった。



「簡単にはヤらせません」


「冗談だって」


「わかってます」


「やっぱやめた。言わない」


「どうしてですか? 言ってください」


「鳴瀬さんの態度が悪いから」


「責任転嫁は卑怯です」


「そういうとこが、感じ悪い」


「どうしてそうなるんですか?」


「じゃあ、鳴瀬さんは? 鳴瀬はどうなの? 俺のこと……」


そこまで言って、岩本さんは口をつぐむ。狡い。



「好きです。大好きです」


「俺もです」



やっぱり――

岩本さんは狡い……。