瞬きさえも忘れていた。

「それは……どういう……」


「俺に言わせるの? 何それ、嫌がらせ?」


「はぁ? どっちがっ!」


思わず言い返したら、岩本さんは一層腕に力を込める。苦しい。もう『愛しい』なんて言っていられない。


仕返しですか?



「言って、くれなきゃ、わかんな……苦しっ……」

押し潰されそうなぐらいの圧迫感に、言葉を口にするのも一苦労。



岩本さんは、フッと息を漏らして笑うと、ようやく腕の力を緩めてくれた。だけども、未だ二人の身体は密着したまま。



どうしよう。これ、いつまで続くの?

こんなところを会社の誰かに見られたら、やっぱり気まずいんじゃないかな。



「わかった、言う」

観念したのか、岩本さんはそう言った。でも顔を上げることも出来ないから、どんな表情をしているかわからない。


声は……穏やか。とても優しい。