瞬きさえも忘れていた。

違う、そうじゃなくて。

どうしたもこうしたもない、ただ私はこの人が好きなだけ。


岩本さんのことが――

すごく好き、大好き。



「ごめん。わかってた」

静かな掠れた声でそう言って、岩本さんは繋いだままの手を、ぎゅっと握り返してくれた。



止め処なく零れ落ちる涙もそのままに、隣の岩本さんを見詰めていた。

その顔が切なげに微笑んだと思ったら、ゆらっとこちらに傾く。



瞬きさえ忘れて見惚れてしまうほど美麗な顔が、突然に私の視界を埋め尽くした。



「あっ……」

間抜けな声を漏らした半開きの口が、ふわっと優しく塞がれた。



それはまるで吹き抜ける風のように爽やかで、一瞬にして過ぎ去っていってしまったけれど。

でも、唇には柔らかな感触と温もりが確かに残っていて。



一体何が起こった? 岩本さん、今、何した? どうなっているの?

訳が分からなくて、頭の中が破裂しそう……。