門を出たところで、颯爽と自転車で走り去る猪飼さんを見送って、歩道に立ち止まったままフウと一つ息を吐き出す。


やっぱり気が重い。



でもそれは誰が悪い訳でもなくて。

ぐずぐずと断りきれずにオッケーしてしまった私のせい。自業自得だから耐えるしかない。



片側二車線の車の行き来が激しい大通り。横断歩道も何もないところを渡るのに、慣れていないからか、結構な時間を要した。



まだまだ日が高くて、じりじりと肌を焦げ付かせる日差しが痛い。



ああ、もう、イヤ。

意志薄弱で優柔不断な自分がイヤ。



自分自身に苛つきながら、駐車場の奥、停めてある車の影に身をひそめて立っていると、

「ごめん、梨乃ちゃん。だいぶ待った?」

弾む口調で声を掛けられ、反射的にそちらへ視線をやる。



満面の笑顔で佇む甲本さんを目にして、胸の中が益々ブルーに染まる気がした。