瞬きさえも忘れていた。

「ヘラへラ愛想振り撒いて、岩本さんに不快な思いさせたのなら謝ります。ごめんなさい。もう通して貰っていいですか? 電池の替えが要るんですよね?」


「別に不快な思いはしてないけど。あんたがイタイ勘違いしてたら可哀想だと思って」


「『イタイ勘違い』って何ですか?」


言っている意味がさっぱりがわからず、聞き返した。



「あんたさ、別に好かれてる訳じゃないから。隙があるだけだから」

冷笑を浮かべて彼は答える。


本当に感じ悪い。本気でムカついてきた。



「はっ? 『隙』? どこがですか? 言い掛かりはやめてください。ていうか、そこどいて」

岩本さんを押し退けて通ろうとしたら、彼は身を横にスライドさせて、尚も強引に私の目の前に立ち塞がる。



「あんた、簡単にヤらせてくれそう」

そしてボソリと落とされた言葉。