瞬きさえも忘れていた。

この幸せな時がずっと永遠に続けばいいのにと、心の底から願う。


でもこの想いは、私の独り善がりかもしれない。そう思ったら、たちまち不安な気持ちになって、きゅっと下唇を噛み締めた。



そんな私を見て、何かを察したらしい岩本さんが口を開いた。


「仕事中だし、単刀直入に言いますけど、」

妙に改まった口調で真面目くさって言う。



「もう、付き合うとかそういうの、いらないよね?」


「何が言いたいんですか? 全然、単刀直入じゃないし」


「そっか、ごめん。あのさ、」


「何でしょう?」


私に真っ直ぐ向けられている真剣な眼差しが、やけに艶やかで色気があって、ゾクリと背筋が震えた。


あまりに魅惑的なそれに、めまいを起こしそうになるけど、両足を踏ん張ってなんとか耐える。



「俺にちゃんと生殖機能があるかどうか、梨乃で試させて?」


「はっ?」

無意識的に漏れ出た声は、酷く間抜けなものだった。



「あの、それは……もしかしてプロポーズですか?」


もしかしなくても、そうかもしれない。プロポーズの時にふざけるなんて信じられないって思うけど、相手が岩本さんなら十分に有り得る気がする。