瞬きさえも忘れていた。

異性の誘いを断る理由なんて、『あなたに興味がない』で十分だと思う。


そんなこともわからずに、迷い、悩んで、間違った選択をした四年前の私。


でも……。

そんなこともわからない私だったから、岩本さんとの距離が縮まった。



容姿も平凡、中身だって欠点だらけで不完全。自分のことを、魅力も取り柄もないつまんない女だと思っていた。


岩本さんは、そんな私の長所をたくさん見付けてくれて、そして、好きだと言ってくれた。



彼がくれたものは、果てしなく大きい。

大き過ぎて、忘れることなんてできないよ……。



隣でしょんぼり項垂れている増田くん。


「てかね、私、好きな人いるから。だから今は、他の人のことそういう対象で見れないかな」

フォローのつもりで言ったんだけど……。


「ああもう俺、フラれるの早過ぎっ」

増田くんはカクンと頭を後方に倒して天井を仰ぎ、左腕で両目を覆った。



「運命の人は、案外近くにいるもんだよ?」


「彼と結ばれないのが運命なんだとしたら、私は運命なんか信じない」


重い言葉を敢えて冗談っぽく口にして、軽く笑い飛ばした。



「すいません、あんま意味わかんないっすけど……俺、バカだから」

増田くんは申し訳なさそうに苦笑する。


「でもその人のこと、すっげぇ好きってのはわかりました」

そう続けると、私に向かって親指を立てて見せ、ニンと無邪気に笑った。