瞬きさえも忘れていた。

想いが溢れて止まらなくなった。


こんなにも流暢に話せることが、不思議で仕方がなかった。でもそれは、その全てが本心だから。


こんなにも素直になれるのは――

岩本さんへの揺るぎない強固な想いがあるから。



愛は、偉大なパワーを生む。


失ったものも大きいけれど、得たものも、きっとそれ以上に大きい。



くしゃり、前髪に懐かしい感触。

頭の天辺を撫でられて、心地よい安心感に包まれた。



「自分の未熟さを知ってる梨乃は、未熟じゃない」

いつかの私の言葉を少し変えただけのそれに、

「パクらないでください」

すかさず言い返し、半べそかきながらも笑ってみる。



「名言だろ?」

と、悪戯っぽく微笑む岩本さんは、幻想的なほどに美しく。


この人に愛されたという記憶は、本当に夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。



「眠い。寝よ?」

唐突に本能的欲求をそのまま口にした岩本さん。


「え?」

どういうわけか、その言葉に反応して顔が熱くなった。



「その『寝る』じゃない」

すぐさま頭頂に手刀を食らう。


「いたっ! そんな勘違いしてません」

頭を両手で押さえて抗議した。全然痛くなかったのだけど。