瞬きさえも忘れていた。

甲本さんに導かれるまま、足を踏み入れた。


何故だかそこは洋室の二人部屋。

会社にとって、甲本さんは本当に特別な存在なんだと思い知って、一層陰鬱な気持ちになった。



「何か飲む?」

そう言った甲本さんの上機嫌な笑顔も、吐き気がするほど不快だ。出来ることなら思いっ切り殴って、その鼻をへし折ってやりたい。



「いりません」


「ああ、そう」


「同室の人は?」


「ここは俺一人だけど? 当然だろ?」


甲本さんは平然と答え、どこか得意気に微笑んで見せた。


心底嫌なヤツだと思う。でも自分はこの男よりも最低なんだということを思い出して、激しい怒りに耐えた。



「さっさと終わらせてください」

感情を押し殺して機械的に訴えれば、

「はいはい。じゃ、遠慮なく」

言い終わるや否や、もの凄い勢いで抱き付かれ、どさり、そのままベッドの上に押し倒された。



私を見下げる甲本さんの、纏わりつくような視線が気持ち悪い。腰に添えられた手の生温さに、そこから酷い悪寒が広がった。