瞬きさえも忘れていた。

仮病だって気付いているくせに、と。罪のない樽井さんに対しても悪意を抱いてしまう自分が情けなくて、でもどうしようもなくて。



「平気」

素っ気なく返して、重い身体を起こした。そうして、もやもやする両目を擦りながら立ち上がった。



座ったままで、そんな私を不安げな眼差しで追う樽井さんに、

「終わった? 宴会」

知りたいことだけを問う。



ん、と小さく頷いて、彼女は寂しげに微笑んだ。



「ちょっと……行ってくるね」

ポッツリ呟いて樽井さんに背を向け出入口へ向かう。



「甲本くんのとこ?」

必死に絞り出されたような弱々しい声に、思わず足を止めて振り返った。



今にも泣き出しそうな悲痛な顔。彼女はどこまで知っているんだろう。

全部知っていて、それでも彼を失うのが怖くて黙認している?



そんなの、愛なんかじゃない。ただの依存じゃない。



「引き留めないの?」 

樽井さんの問いには答えず聞き返せば、彼女は逃げるように俯いて、力なく首を左右に振った。