食堂に、期待通り彼は居た。

その姿が視界に飛び込んだ途端、鼓動が高鳴る。



テーブルは三列に並んでいて、その一番奥の列、真ん中辺りに、同じく作業着姿の若い男性二人と腰掛けていた。

目の前にある定食は、もう既に大半食べ終わっている。


タイムリミット、後数分。



食堂はセルフサービスになっていて、吉田さんたちに倣って、私も列の最後尾に並んだ。

その間も、私の視線は絶えず彼に釘付けで。



ぼさぼさに乱れた黒髪と、ほんの少し丸めた背中を飽きもせずに眺めていると、彼は不意に席を立つ。

そしてクルンと身を翻し、トレイ片手にこちらへ向かって歩いて来た。



うっかり視線がバチッと合ってしまい、慌てて視線を逸らしたけど。

きっと凄くわざとらしかった。ずっと見詰めていたこと、多分バレた。