瞬きさえも忘れていた。

開いた口が塞がらないって、こういう状態だと思う。

怒りを通り越して呆れた。


平然とそんなことを言える彼女が、不思議で仕方がなかった。

私たちが、存在しない命のために諦めたもの、味わった痛みは余りに大き過ぎた。



ふつふつと湧いてくる怒りに、胸の奥が熱くなる。


「どうしてそんな嘘吐いたんですか?」


「どうしてって……決まってんじゃない、達志を取り戻すためよ」


そんな分かりきったこと聞かないでよ、と。バカにしたような口調で、彼女は溜息混じりに続けた。



「聞いてるんじゃない、責めてるんです」

この苛立ちを隠す余裕なんかなくて、無意識的に声のボリュームも上がっていた。



「あなたに私を責める権利なんかあるの? 達志には私がいるって知ってて、図々しく間に割り込んできたくせに」


酷い言われようだけど、もうそんなのどうでもいい。

ムカつく。腹立ちや苛つきが止められない。