あの日以来、甲本さんから声を掛けられることはなくなった。


私への興味が失せたのか……。

ああ違う。元々興味なんかなかった。ただ、連勝を私ごときに阻止されて、面白くなかっただけだ。



理由はどうあれ、もう二度と関わらなくていいってことに、心底ホッとした。


もちろん、顔を合わせたりしたら挨拶はきちんと交わす。社会人としてそれだけは守らないと。

向こうは声すら出さず、微かに頭を下げるだけだけど。



そんな甲本さんの態度だって、少しも気にならない。



想うのは、岩本さんのことだけ。

ただ、岩本さんに恋焦がれるだけの日々。



彼カノという確かで安定した関係ではないけど、岩本さんが私を不安にさせることは決してなかった。



会いたいって言えば、会いに来てくれる。

クールな無表情で冗談を言っては笑わせてくれる。



だから――

それは余りに突然で……。