「えっ? ああ、どうぞ。もちろん」
一瞬驚いたものの、吉田さんはすぐ、その綺麗な顔に満面の笑みを浮かべた。
岩本さんは今度は私を見下ろし、「来て」と囁くように言う。そうして身を翻して背を向けた。
慌てて立ち上がって、その後を追おうとしたら、岩本さんが不意に立ち止まって振り返った。私も反射的に足を止め、いつもの涼しげな無表情を、小さな不安と共に見詰めた。
岩本さんは私からテーブルの上に視線を移して、「弁当は?」と一言呟く。
急いで戻って弁当箱の入った巾着袋を荒っぽく掴み上げれば、もう既に、岩本さんは再び歩き出していた。
その背中を小走りで追った。
私の方を振り返ることなく、ひたすら歩き続ける岩本さん。私の中に生まれた不安が益々膨らんていく。
コンパスの長さが違うから、ついていくだけでも必死なのに。
岩本さんは会社の門を出ると急にスピードを緩め、背後の私を顔だけで振り返った。
一瞬驚いたものの、吉田さんはすぐ、その綺麗な顔に満面の笑みを浮かべた。
岩本さんは今度は私を見下ろし、「来て」と囁くように言う。そうして身を翻して背を向けた。
慌てて立ち上がって、その後を追おうとしたら、岩本さんが不意に立ち止まって振り返った。私も反射的に足を止め、いつもの涼しげな無表情を、小さな不安と共に見詰めた。
岩本さんは私からテーブルの上に視線を移して、「弁当は?」と一言呟く。
急いで戻って弁当箱の入った巾着袋を荒っぽく掴み上げれば、もう既に、岩本さんは再び歩き出していた。
その背中を小走りで追った。
私の方を振り返ることなく、ひたすら歩き続ける岩本さん。私の中に生まれた不安が益々膨らんていく。
コンパスの長さが違うから、ついていくだけでも必死なのに。
岩本さんは会社の門を出ると急にスピードを緩め、背後の私を顔だけで振り返った。



