瞬きさえも忘れていた。

「嫌われちゃったんじゃないかって、心配してたんだよね」

なんて続けて、甲本さんは縋るような上目づかいで見詰めてくる。



こうして改めて間近で見ると、甲本さんて、いかにも女ウケしそうな甘い顔立ちだ。

そして童顔だからか、実年齢よりずっと若く見える。



まさかこの天使のような顔をした男が、実は腹ん中真っ黒だなんて、誰も想像つかないだろうと思う。



「嫌ったりなんかしませんよ。大丈夫です」

だからどうかもう、私に構わないでくださいと、心の中だけで願った。



差し障りのないようにかわしたつもりだったけど、甲本さんは何をどう間違って解釈したのか、

「じゃあさ、もっかいチャンスくれない?」

平然とそんなことを口にして、屈託なく笑った。



もちろん、そんなの断固拒否だ。

だけど、どう断っていいかがわからず、口籠ってしまった。



「ねっ? このままだと俺、最低な男だって誤解されたままじゃん? お願いだから名誉挽回させて?」