翌週、岩本さんは夜勤だった。


いつも通り、職場と自宅の往復を繰り返すだけの一週間。



ほんの少しだけ変わったのは、岩本さんからメールや電話が来るようになったこと。

でもそれは頻繁ではなく、ごくたまに。ふと思い立ったという感じの単発的なもの。



岩本さんはマメじゃない。




岩本さんが夜勤ということは、同じ班の甲本さんも夜勤で。


来週になったら甲本さんとまた顔を合わせることになる。そう思ったら、すごく憂鬱だった。

けれど、一週間も空けば記憶も薄れるだろうって、半ば強引に自分自身に暗示をかけて、不安を無理矢理に打ち消そうとした。




週末も、岩本さんは高校時代の友達と遊ぶ約束をしているとかで会えなくて、電話とメールのやり取りを交わしただけ。



私、彼女じゃないのかも知れない。


『付き合おう』って言われた訳じゃないから、それは仕方がないこと?



その曖昧さに、小さな不満が心の奥底に生まれた。やがてそれは不安に変わる。