もう居ない恋人の面影を捜しては



現実の波に押し戻される



そんな歌。



真也の低い声が



より一層切なさを増した。



『はぁ〜久しぶりに歌ったわ〜この曲。…ってサリーなんで泣いてるん!?』



『えっ!?』



慌てて頬を触ると



水滴が手について



そこでようやくそれが涙だと気づく。



『あっごめんなさい…呑みすぎたかも笑。あたし泣き上戸なんですよ笑』



きっと、そんな嘘はバレていた。



でも真也はそれ以上は何も言わなかった。



良い意味でも



悪い意味でも



彼は人の心に上がり込んではこない。