なんだか相手にしていることも億劫になったので、ペコリと頭を下げる。
「すみません、行くところあるので」
『だから、それ、俺の行く所と一緒』
「……ついてこないでください」
『方向ってか目的地一緒だから!』
何この人、ふざけてんの?
綺麗な蜜色の髪を風で揺らしながらふらふらと後ろをついてくる男の人に驚愕。
「なんなんですかおっさん」
『(……お、おっさ…、おっさん?)まだ大学生なんですが』
「嗚呼、そうなんですか。ごめんなさい30代後半くらいだと思ってました」
にこり、嫌味もこめてそう言ってやれば何が面白いのかクスクスと笑みをこぼす男。
『面白いね、小梅ちゃん』
「っ、なんで名前」
名前を呼ばれると酷く動揺してしまう。
そんな真意を見透かしたのか男の人は笑い交じりに私の背中に呼びかける。
『こーうーめちゃんっ』
「………、性格、悪い」
ぼそり、呟くように言い、振り返って睨んでやれば一瞬驚いたように目を見開いた男の人は次の瞬間には吹き出すように笑う。
そして。
『よく言われる、』
そう言って、笑った。
