【珍獣使い】の憂鬱

それは『夏月』としての俺に対してなのか、『夏』としての俺に対してなのか、どちらなのかはわかりません。


どちらにしても、俺は最後の最期まで、認められない子供だったんです。


葬儀で涙はこぼしませんでした。

悲しくなかったと言ったら嘘になりますが、それよりも安心感のほうが大きかったんです。

母親が死んで安心するなんて最低の息子だと思いますが、12年もの間、『夏月』の呪縛に囚われ続けたんですから、それくらいは許して欲しいと思います。